白い白い、小さな、お墓がありました。

女の子はそこにいました。そこで見ていました。

男の子はそこにいました。そこで泣いていました。

白い小さなお墓の前。
(ねぇ、泣かないで)
女の子は話しかけます。
(泣いちゃだめよ)
でも、声は男の子に届きません。
(水分のムダよ)
(苦いの苦手でしょ?)
(どうせコーヒーで補給するんだから)
(砂糖入れなきゃ飲めないくせに)
届きません。

男の子の涙が、お墓を濡らしていきます。
(泣かないで)

お墓は、海の見える丘にありました。
白い、小さな、かわいいお墓です。

男の子は、そこで泣いていました。
女の子は、そこで見ていました。
(ねぇ、泣かないで)

海の見えるお墓に、二人はいました。

ずっと、いました。二人で、いました。



ずっと。
(私のため、なんかに)
20070912
20090526 改訂