融和する午後 

 菓子折りを持って現れた友人に、言う言葉は既に決まっていたようなものだった。
「悪いと思ってんの?」
「ウン」
「舐めるのも大概にしてよね」
これは強がりではない。
「私が弱いから敗けた、ただそれだけのことでしょう」
「…あのネ、十六夜」
「人間が死神に勝てる訳じゃないって言いたいの? あのね、私のことなんだと思ってるの」
「天才」
「その通り」
分かってるじゃない、と頷くと、そう言うとは思ったけどさ、と続けられそうになる。だからそのまま遮るように次の言葉を出す。
「なら私は勝てるようになるだけでしょ。相手が死神でも、他の人外でも」
「…流石ニ時間が掛かルんじゃないカナァ」
「それがいつになっても、出来たら私の勝ちでしょう」
「それハ、そうだケド…」
「ならこの話は終わり」
「じゃアこのお菓子も要らなイ?」
「それは要る」
 やっと笑った友人の手から箱を奪い取って、やっと神無咲十六夜は日常に戻ることが出来た。

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20180202