さよならだけが人生だ 

 思い切り地面に転がって身体の側面に泥がついた。あーあ、とHが声を上げる。
「大丈夫?」
思ってもいないことを彼は言う。いずみに頼まれたから、相応の代価を貰ったから。涼水に何を思っている訳でもないのに。思っていて欲しい訳でもないけれど。
「もう少しさぁ、大事にしなね」
何を、とは返さなかった。
 Hにだけは言われたくなかった。立ち上がる。
「大丈夫です。…いずみに、追いつくのは無理だと思ってるけど…それでも、少しでも力になれるようになりたいから」
「そう」
「そのためなら、多少の無理くらい」
「人の話聞いてた?」
呆れたような声に、やっぱりHにだけは言われたくないと思った。



http://shindanmaker.com/279018

***




20180202