「リョート」
リョータは双子の弟を呼んだ。
「何?リョータ」
リョートは大きな目で兄を見つめる。
「今日、お前、呼び出されたんだってな」
果たし状とか、そういう類のものじゃなくて、ラブレターというベタなもの。
「そうだけど?」
「で?」
リョータがリョートを見つめる。
リョートは最初にキョトンとして、次に笑って、
「ちゃんと断ったよ」
「何て」
「それは内緒」

リョートは笑ったまま、リョータの横に移動した。
「俺が好きなのは、リョータだけだよ?」
ツンとした横顔に、口付けを落とす。
…こんなのは、挨拶。
愛情表現の内にも入らない。
なのに。
リョータの真っ赤になった耳を見て、リョートはクスリと笑った。

本当は、これがそんな感情じゃないんだって、分かっている。
けれど、双子の兄は面白いように反応するから。
ついつい、からかいたくなるでしょう?





20080629
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