冬の異文化交流



始終ニコニコとしている男に今更何故とは聞けなかった。本日は鍋である。
始まりはどうであれ、
今はやっと居候から家事手伝いにまで昇格したエイリアンはよそられるのを待っている。
そわそわしているのを隠さないで、でも苦手なはずの正座までして。
「…ほら、大根」
「やった!」

本当、なんで大根が大好物になったのやら。


ニコニコ、始まり、大根
今日の晩飯 箱の中には歌姫がいた。 このやたらと大きな機械はこの地球では映像を配信する役割を果たしているらしい。 場所を取るし邪魔だと思うが技術が妙な方向へ発達してるのだから仕方ない。 すん、と鼻を動かす。 「今日はカレーか」 「そうだ、だから手伝え」 怒られた。
カレー、歌姫、機械
君を征服! 今日はライブに行くんだとぎゃあぎゃあ騒ぐ家主を押さえ込み、居間へと軟禁する。 家主に対して何をすると言われたが、そもそもそんなにこの男を上に見たことはない。 家主というか宿主という感覚だ。その大切な宿主を守るのは生物の本能である。 「よく聞け、あれは征服者だ」 「はぁ!?」 「だからこの地球を征服しようとしている輩だ」 「お前と同じような?」 「私は不時着だから少し違うが、お前がそう思いたいのならそれで良い」 はぁ、と気の抜けた返事に分かってないなと顔を顰める。 「お前に分かりやすくいってやろう」 「どうぞ」 「お前は今寝取られる寸前だ」 殴られた。
征服者、ライブ、寝取られ
暗殺計画 空が高い。 この地球の空は青くて、あのふわふわしているのは雲というらしい。 あれなら仲間たちがこの地球へとやってきた時、擬態することが可能かもしれない。 「…いや、今はそれどころじゃない」 今は大切な宿主を脅かした加害者をつけている最中なのだ。 来た当初、家から出るなと言われたが、 そもそも散歩が容認されているのだからあまり気にしていない。 「よし」 気合を入れる。 「さっさとあいつを抹殺して帰ろう」 気付いた宿主が連れ戻しに来るまであと十分。
擬態する、雲、加害者
異邦人の話 宇宙船から放り出されて、やってきたのがこの星だった。 「ンな作り話信じるか」 「でも本当だ」 「じゃあなんで無事なんだよ、宇宙から降って来といて」 「防御した」 「甘い」 このチンパンジーによく似た生物が大切な宿主になるのはそう遠くない話。
防御、宇宙船、チンパンジー
ライトレ
20150304