君とドライブ



居候が車の免許を取りたいなんて言い出したのは二年目の冬のことだった。
「免許ってお前戸籍とかそういうのすらないじゃん」
「それは後藤さんが何とかしてくれるって」
「えっお向かいの? あの人何者なの?」



冬、車、後藤さん



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エイリアンの策略



憎しみの渦巻く場所なんて何処にだってある。あの宇宙船もそうだった。
操縦士が隊長の奥さんを取ってしまっただとか、そんな噂は平隊員である俺でも知っている話で。
「お前もしかしてそれに巻き込まれたから落っこちたの?」

別にそういう訳でもなかったし、あれは完全に事故だったのだが、
小難しい顔でそうかもしれない、と頷いておいた。
この宿主の同情をかっておくのは、そう悪いことではない。



隊長、宇宙船、憎しみの



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ちなみに馬は向こうでは食用です



「UFOの単位ってなんなの」
最近この宿主は最初こそ
設定だなんだと頭ごなしに否定していた俺の生い立ちを信じる気になったらしい。
「トウです。一頭、二頭」
「馬かよ」
「まぁ交通手段なので近いですね」



単位、馬、UFO



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圧力鍋買おう



カレーの香り漂う台所にそっと足を踏み入れる。
「お覚悟」
「なんなんだ」
「侍だ」
「切腹しろ」

ポケットに手を突っ込んでるくらい鍋を監視する作業が暇なのだから、私と遊んでくれても良いだろう。



カレー、侍、ポケット



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母星に本はない



チンパンジー似の生物が喋ったことにも驚いたけれど、それが服を着てることにも驚いた。
更には靴を履いている、裸足ではない。こんな辺境の星に文明があるなんて。
あの星にいたままでは、どれだけ検索しても知り得なかっただろう事実に胸が震えた。



検索、裸足、チンパンジー



ライトレ
20150603