だいっきらい、だいすき。
ねえおぼえてる、といつの間にか大人の表情(かお)をするようになった少年は言う。 「十三さんがさ、一番最初に僕の採血した時のこと」 頬が熱いのは勘違いではないだろう。 憶えていた。新人の私が、どういった失敗をしたのか。 「あれが、切欠だったんだ」 少年は、大洋くんは笑う。 「あの日からずっと、僕は十三さん、ううん、さくちゃん、貴方が好きなんだ」 それを鳥籠の中の勘違いだと、笑い飛ばすことは出来なかった。 「心中、してくれる?」 大きくなった手が差し伸べられていた。 けれどもそれでも私のものより小さくて、彼がまだ子供なのだと思い知らされた。 その昔看護師さんに血管を貫通されて以来の恋です / 高島津
20150603