語られた言葉すべてを拒絶したいと思うなんて、そうそうないことかもしれない。
可愛いと思っていたその笑顔も、今はやたらと邪悪に見えてくる。
これは罠なのか、愛とやらを試すための嘘なのか。
でもそうではないことを俺は知っている。
言い辛い事実を告げる時の、彼女の恐らく本人は気付いてないであろう癖も、確認済みだ。
「…嘘だ」
絞り出された声はそれでも拒絶しようとしていた。
これでそうだと言ってくれれば。
「真実よ」
そんなことはないと分かっているのに。
「あの子が貴方を好きだって、愛してるって知っていたの」
「…鬼灯」
「そして、その愛が貴方が幸せなら自分は報われなくても良いなんて言う、
自己犠牲型だって、知ってたの」
「鬼灯、やめろ」
「全部、貴方が欲しかったから。
最強の敵であるあの子を、壊したかったの」
「やめろ、鬼灯!!」
どくどくと米神で音がする。
「…もう、良い」
自分でも驚く程、静かな声だった。
「別れよう」
「…うん。今までありがと」



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20120911