所謂俺は霊媒体質で、
そっちの道ではホイホイとか言われたり何だりでまぁ兎に角保護対象らしい。
良くは分からない。
地元は元々神様に守られてる地って言うの?
そういう感じだったので地元から離れてなかった俺は、
高校三年まで特に何にも遭遇せずに生きてきた。
が、問題は大学に進学して東京に出てからだ。
ホイホイなのだ、引き寄せるのだ、善い悪いに関係なくいろいろと。
高校を出てから三年、そんなものたちに追いかけられ好かれ、
それなりに良いことしてきたおかげもあって善いものに助けられたり、
そんなギリギリの生活を送っていた。

四年目、転機が訪れる。

早くに東京に出てきた後輩を連れ回そうと画策して、
つい遅くなってしまってああやべえと思った時にはもう遅い。
俺の後ろには五、六体の謎の生命物体。
いやこれアレですよねー人間の恨みつらみ系を受けてドロッとした感じのアレ。
ああやべえ、この子だけでも逃がさないと。
咄嗟にお腹痛いふりをしてみる。
心配された、馬鹿、帰れよ。
そのうち本当に吐気がしてきて、勿論あのドロドロの所為で。
何でこいつこんな平気なの、くそ、見えない奴め、幸せそうだな、俺もそうが良かった。
なーんて思った所で一閃。

目をぱちくりさせるしかなかったね。
あれ何が起こったの、どうしてこうなったまじ説明しろ、的な。
「先輩に近付かないでくださいよぉ」
間延びした声でにやにや笑いながら後輩ちゃんはドロドロの方を見もせずに光を放った訳だ。
一瞬何か他の人と重なって見えた気がする。
そしたらあらまぁ不思議!
ドロドロは跡形もなく消えてしまって、清浄な空気が戻ってきた訳だ。
ぽかん、としたね。
「先輩ってホイホイなんですね」
さっきの間延びしたイラつく喋り方は夢かと思うくらい普通に話しかけられた。
「ホイホイ?」
「善いも悪いも関係なくああいうのに好かれる体質のことです」
「…あぁ、まぁ、そうかも」
「大変でしたねー。
っていうか良くここまで生き残れましたね!」
他人事だと思って。
「まぁ、冗談はさておき。先輩ツイてますよ」
にこーっと笑ったその顔にさっきの悪どい笑みは重ならない。
「今年から私たちが東京に来ましたからね!」
私たちって誰だ。

これが、俺・大和青葉と後輩・浮木成の二度目の出会い、みたいなやつ。



大和青葉(やまとあおば) 浮木成(うきぎしげる)
20131004