掌に伝わるバスケットボールの感触。
毎日触ってるのに、何故か懐かしい感じがする。
「今年は」
僕は呟いてゴールを見つめる。
「絶対勝つ」

ボールが僕の指を離れて、リングに向かって行く。
ボールがリングに触れるまでの瞬間。その短い時間が、僕を最もドキドキさせる。

気持の良い音がして、ボールが落ちた。
これがシュートが入った音ならカッコ良いのだが、生憎そうでは無い。
「アイツには敗けない―――」
僕は距離が足りなくて、ネットをカスるだけに終わったボールを拾いながら、そう呟いた。





20121019