この関係は、ずっとずっと永遠に変わらないのだと思っていた。



ワン・ツー・スリーでさようなら
真っ黒な空間に一つ、二つ。 影が伸びていた。 黒一色の世界の中に影、などとは可笑しな表現だとは思うが、此処はそういうところなのだ。 仕方がない。 二つの影は向き合うようにして立っていた。 姿形の全くに同じなその二つは、唯一瞳の色だけを異にしていた。 「貴方は知っていたの?」 青の瞳の少女が、半ば叫ぶようにしてそう問うた。 悲痛な声だと思った。 「僕たちとあの人が、全く違った存在なこと」 紅い瞳の少女は悲しそうに眉を寄せる。 思い浮かぶのは、彼女たちの本体とも云えるであろう人。 ―――自分の問いを、表情一つ変えずに肯定した、人。 青の瞳が歪んでいくのを、黙ってみていることは出来なかった。 「知っていたよ」 いつから、なんて唇は紡がない。 ずっとずっと傍にいたはずのその少女が、切り離されたような気がした。 問われたところで返すことなど出来なかっただろう。 この心がいつ生まれたのかなんて、少女の知るところではないのだから。 でもきっと。 最初から。 そう、本当はずっと。 いつかこの関係が音を立てて崩れてしまうんだと、知ってた。
20140406