ぼくらはいつでもはんぶんこ
水葱が近付いて来るのを避けなかったのは、別段それが珍しいことではなかったからだ。 だから、いつもと違うちゅ、なんていう恥ずかしいリップ音を聞いた時、 びっくりして渾身の力で引っ叩いてしまった永海に非はない。 「…え、何、突然。きもちわるっ」 「気持ち悪いとは酷いな。ただの親愛のキスじゃないか」 「あれだけ自分至上主義な天然男が親愛とか笑わせないで。腹筋捩れてそのまま切れる」 「無表情でそんなこと言われても」 しょんぼりと眉尻を下げてみせる水葱を手で押しやって場所を開ける。 「ほら、次のサンプルの結果、さっさとまとめてよ」 「永海ってほんと、母さんそっくりだよね」 「そう?」 「うん」 「そう」 母さんに似ている。 納得した返事に満足したのか、水葱は言われた仕事にとりかかっていた。 でも、水葱。 心の中で言う。 多分母さんならそこそこ親愛のキスを、喜んでくれたと思うよ。
水葱が永海が冗談交じりに頬に 親愛、厚意、満足感のキスをする
20141030