四月馬鹿と寂しがりサニーボーイ
「ユウ」 凛とした声が寝惚けた頭に響いた。 顔を上げると其処に立っていたのはエイとミィの二人。 その後ろの窓から差し込む光に、数十分程うとうとしていたのだと知る。 「あの、ね。 言わなきゃいけないことがあって…」 「エイ、僕が言います」 「私が言うから、ミィはそこにいて」 どうやら何か話があるらしい。 空気からして重要なのだろうか。 「あのね、ユウ。 私とミィ、付き合うことになったの」 シン、と落ちる沈黙。 ピチチ、という鳥の声がやたら陽気だ。 そう、春なのだ。 小鳥くらい鳴く。 「えーあー…」 ぽりぽりと頬を書きながらゆるく笑って、 「二人がエイプリルフールにのるなんて、ねぇ」 と告げれば、二人はあーあ、と言うように息を吐いた。 「騙されませんでしたねぇ」 「ちょっとくらい引っかかりなさいよ」 「こんなことで俺を騙そうなんてむりむり…」 だばぁ!っと音がしたような気がした。 「え、ちょっユウ!?」 「な、泣かないでください…!」 涙もそのままに、慌てたように寄ってくる二人を抱きしめる。 「ううう…」 「どうしたんですかユウ…」 「そんなに寂しかったの?」 「そうだよおおお、二人してっそんな楽しそうな、こと! 俺仲間外れみたいじゃんー!」 うわああん、と声を上げれば二人分の腕が抱きしめ返してくれるのを感じた。 暖かい、桜ももう満開だろう。 今の仕事が終わったら、みんなで花見に行くのも良いだろう。
20130401