僕と僕の幻影
出会い頭に胸元に、頭突きを食らってよろめいた。 ぐりぐりと押し付けられるその頭頂部は、良く見知った守るべき幼馴染のものだ。 「僕はウタカタだぞ」 次の言葉は吐息のようだ―――英知じゃない。 それを言うにはどうも英知と自分が別個のものだと証明するようで、何か嫌だった。 しかしどうしても僕と彼を区別したがる彼女には、そうして証明してやることが必要なのだ。 皮肉なことに、僕の生まれた一番の理由である彼女が、僕らを一番に区別したがる。 「…どっちでも、いいよ」 何処までも声は掠れていた。 そうか、と答える。 何があった、とは聞かなかった。 英知に変わってやることもしなかった。 どっちでも良い、 そんなふうに曖昧に濁した彼女が望んでいるのが本当は僕なのだと、それが分かっていたから。 制服の裾を掴む手が震えていたのは見なかったふりをした。
(制服、胸元、どっちでもいい) 診断メーカー
20131122