ぽんっ
可愛らしい音がして、
「にゃあぁぁああぁぁ!?」
白狐の黎明堂に猫…うん、猫が現れた。



ドラッグ☆パニック2
「イザヨイさん…!!」 「あーやっぱ分量間違ったな」 慌てる涼水の横で自称マッドサイエンティスト・神無咲イザヨイは唸っていた。 そして、その前には… 「イ、イザヨイ…」 丸くなる霞彩草希。 必死に頭を隠そうとしている。 「にゃんでこんな薬つくったの…!」 「いや?可愛いと思うよ、猫耳」 イザヨイがニヤケながら言った。 「ほんとは猫になる薬を頼まれたんだけどね。 でもま…これも一部の人の間では売れるだろうなぁ」 ふんふん、と頷くイザヨイを草希は睨みつける。 心なしか涙目だ。 「はやく解毒剤ちょうだいよ…!!」 「えー効力は半日だろうし、身体に害はないし。良いじゃん」 草希の株も上がると思うよー?と笑うイザヨイ。 「じゃあ、私はこの薬の調整やらなきゃいけないから、一回帰るね!」 「え!?」 涼水と草希が声を上げた時には、もうイザヨイは消えていた。 何このデジャヴ…。 涼水がそう思ったのは言うまでもない。 「す、涼ちゃん…!」 声の方を見れば、潤んだ目で見てくる草希。 草希が元々大人っぽいのにプラスして、上目遣い+猫耳&猫語。 あまりの色っぽさに言葉を失う涼水。 彼女は健全な女の子のはずだが。 「い、いずみの所、行きますか…?」 萌えって、このこと言うのかな…。 涼水の心の中で、確実に何かが育っていく。 「…うん」 萌えだ、萌え。 無駄に長い廊下を二人で歩いていく。 並んで歩いていると、ふと涼水は視線を感じた。 「草希さん、何かついてますか?」 「え、にゃ、や、にゃんでもにゃいよ!」 振り返れば草希は慌てて手を振って誤魔化すが、前を向けばやっぱり視線を感じる。 「…草希さん?」 もう一度振り返れば、草希の視線も動く。 その先にあるのは… 「私の、髪?」 真っ赤になる草希の顔。 ああ、あれか。私の髪は猫じゃらしのようなものか。 半ば放心状態でそう思い、草希の頭をぽむぽむと撫でると、 「後で…猫じゃらし取ってきますから」 「私は猫じゃにゃい!」 「はいはい」 これは一刻も早くいずみの所に行かなければ…!と足を速めた。 ノックの返事も待たずに仕事場の扉を蹴破るように開け、 中でぽかんとしているいずみに私が私でいられるうちに…! とやや危ない気持ちで早口説明をした涼水。 「猫、ネェ…」 いずみがとととっと近づいてきて、 「にゃ〜」 草希の頭を撫でる。 「…これ、身体に害はないんデショ?」 何を言い出すんだ、と涼水はやや放心状態で思う。 にこにこと楽しそうに、 とても楽しそうに笑ういずみはさっきまで救世主のように思えていたの、だが。 「ナラ効果切れるマデこうしとけバ良いと思うヨー」 そこにいたのは悪魔だった、紛れもない悪魔だった。 猫がいると仕事の邪魔だから、と仕事場を追い出され、 ご丁寧に鍵までかけられ、希望を失った二人は自棄になり全力で遊んだんだとか。 猫化の解けた草希はびっくりする速さで自宅に戻ってしまい、 後には寂しそうな涼水が残されたとか。 その後イザヨイに、 「これ、草希の相手してくれたお礼!」 と、完全に猫になる薬と中途半端に猫になる薬のセットを押し付けられた涼水は、 これは草希には秘密にしておこうと心に決めた。
20121006