あめのひのはなし。
空を奔る、 イナズマ。  カッ 光った空に、私は思わず目を瞑った。 続いて来るだろう音に備え、身体が反射的に耳を塞いだ。 低く唸るような音がして、私はすみっこの方で縮こまる。 怖い。  ガタン 戸口の方で音がしたのが聞こえて、 薄く目を開けると、そこには、黒い人影――― 「何やってんだよ、こんなとこで」 「…はぁ」 人影はよく知る人物だった。 俗に言う彼氏って言う奴で、決して不審者ではない。 「だって、怖いもん」 「…そうか」 彼は私の隣に腰を下ろすと、 「こうすりゃ怖くねぇだろ」 指を絡めてきた。 「!」 触れ合った指先が、とても、あたたかかった。
執筆日不明 / 旧拍手