俺には分からない。 貴方の頬を伝う涙、その温度。 どうして人は想いを持つのか。 「何で人は勉強するの?」 何気ない質問が始まりだった。 「暇つぶしだろ」 俺の答え。 それ以外に何の形容もなかった。 つまらないと面白くないから。 「いつまでの暇つぶし?」 「死ぬまで、だろ」 一時の知的好奇心。 満たされた優越感。 勉強するのに、それ以上のものを感じることは、ない気がしていた。 「ねぇ」 からっぽな駅のホームで、寄り添うようにして。 「どうして、人は生きてるの?」 夏のうだる暑さも気にならずに。 「―――」 答えが、見つからなかった。 「ねぇ、どうして?」 同時に理解できなかった。 貴方の頬の、涙の意味。
執筆日不明