Styx
目が覚めたら、そこは、一面ピンクの花畑。 「…は?」 僕は呟く。 いや、普通にオカシイ。 だって僕はさっきまで、歩道橋を下っている最中だったんだから。 キョロキョロと辺りを見回していると、 「やァ、久しぶり」 懐かしい、声がした。 「…あ」 僕は擦れた声を出した。 「何で…ここにいるの。 だって、キミは」 「キレイでしょう?」 僕の言葉を遮って、 「でも、キミにはまだ早い? 向こうが見える?」 僕は目を凝らす。 見えるのは、花畑、そして、その向こうに広がる、虚無。 「なァーんだ、つまんないの」  ドンッ 突然後ろから押されて。 目が覚めたら、いつもと同じ空があった。 さっきまで降りていた階段を、僕は寝転がって見上げていた。
執筆日不明 / 旧拍手